2016年、心理スリラー映画『スプリット』が公開されました。監督と脚本を務めたのは、『ヴィレッジ』『シックス・センス』『アンブレイカブル』で知られるM・ナイト・シャマランです。主人公のモデルは、解離性同一症(解離性同一性障害)と診断された人物として特に有名な実在の人物、ビリー・ミリガンです。彼の中には24の異なるパーソナリティが共存していました。その半生は、ダニエル・キイスの著書『24人のビリー・ミリガン』でも広く知られています。
あらすじ
物語は、パーティーの帰りに3人の女子学生が誘拐される場面から始まります。一見すると、犯人は典型的な異常犯罪者に思えます。しかし、話はそれほど単純ではありません。見知らぬ部屋に閉じ込められた3人は、先の見えない恐怖におびえてパニックに陥ります。目の前にある唯一の出口は、鍵のかかったドアです。そのドアの向こうから、ケビンという本来の名を持つ人物が現れます。彼は登場するたびに別のパーソナリティへ変わり、まったく異なる人物になりきります。厳格な女性パトリシアとしてドレス姿で現れたかと思えば、内気な9歳の少年ヘドウィグや、几帳面なデニスにもなります。ケビンの中には合計23の独立したパーソナリティが潜んでいます。彼らは次々と表に現れ、本来のケビンを抑え込んでいきます。
主演ジェームズ・マカヴォイの見事な演技には、思わず引き込まれます。次々とパーソナリティを演じ分ける巧みさに、観客は目を奪われるでしょう。物語の中心が主人公であるため、マカヴォイの存在感が作品全体を圧倒しています。それが大きな魅力にもなっています。豊かな表情だけで、特殊メイクやかつらなどの変身道具がないことを感じさせません。一人ひとりを鮮やかに演じ分けて特徴を際立たせ、次は誰が現れるのかと期待させます。

物語に戻りましょう。3人の人質とケビンをめぐる展開に加え、もう一つの軸として、彼と担当の心理療法士フレッチャー医師との対話が描かれます。フレッチャー医師は、ケビンに現れるさまざまなパーソナリティを理解し、本来のケビンを表に出そうとします。
物語最大の謎は、24番目のパーソナリティである不気味な「ビースト」がいつ現れるのかという点です。すべてを明かさないまま、主人公の内面で続くせめぎ合いを描き、人質たちへの共感も誘いながら緊張感を保ちます。作品の魅力を損なわないため、あらすじの紹介はここまでにしておきましょう。
『スプリット』を見るべき理由
- 理由1:先の読めない物語。M・ナイト・シャマランは、意外な展開と予測できない結末を持つ映画作りにたけています。『スプリット』も例外ではありません。複雑に絡み合う物語と独特の雰囲気が最後まで緊張感を保ち、衝撃的な結末で観客を驚かせます。
- 理由2:ジェームズ・マカヴォイの圧巻の演技。ファンなら、鮮やかな演じ分けを存分に楽しめるでしょう。一部の映画評論家は、『スプリット』での役がマカヴォイの俳優人生を代表する演技になる可能性があると評価しています。
- 理由3:作品に込められた意味。家庭内暴力、決断力と信念、思いやり、自分探しといったテーマが扱われています。哲学的な視点で見ると、誰の中にも内気なヘドウィグや才能豊かなバリー、厳格なパトリシア、さらにはビーストがいるのかもしれません。それでも、自分自身を決めるのは自分です。本来の自分より強い別のパーソナリティは存在しないのです。
ホラーとドラマの要素を取り入れた、先の読めない心理スリラーです。このジャンルが好きな方には、ぜひおすすめしたい作品です!
映画のテーマは、当サイトのテスト「解離性同一症の傾向チェック」にも通じます。自分についてもっと知りたい方は、試してみてください。